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G.17.2.1.4 AISC 360 Direct解析

AISC 360-10/16 C章およびAISC 360-05付録7では、"Direct解析"と呼ばれる解析方法について説明しています。この解析方法は、加えられた荷重による構造の変形、不整、および軸方向荷重の存在によるメンバーの曲げ剛性の低下に起因する二次効果を考慮しています。

ANSI/AISC 360 Direct解析手法の採用により、全体剛性マトリックスと全体幾何剛性マトリックスの組み合わせ[K+Kg]、および曲げ剛性の低下、および軸剛性の低下、およびメンバー軸圧縮力が降伏軸力の50%を超えた場合の付加曲げの低下、およびNotional荷重の付加によって、P-デルタ効果を静的解析に取り込んでいます。

これは、メンバーの剛性が荷重によって生じる力に依存する非線形反復解析です。

  1. 与えられたケースnの外荷重に基づく静的線形解析によって、主要なたわみが計算されます。剛性の低下とNotional荷重がここに含まれています。 
  2. 主要なたわみは、メンバーの軸力とプレート中央の膜応力を計算するために使用されます。これらの力と応力は、幾何剛性項を計算するために使用されます。Largeデルタの効果とSmallデルタの効果の両方が計算されます。これらの力と応力は、幾何剛性項を計算するために使用されます。これらの項に、前回の反復の変位の結果を掛けてP-デルタ二次荷重が得られます。そして、二次荷重が元々作用している荷重に足し合わされて、次の反復の有効荷重ベクトルが作成されます。
  3. ケースnに対する最後の三角分解が使用され、変位とメンバー力が計算されます。

    P-デルタ効果を正しく考慮するために、横方向荷重は鉛直荷重と同時に与えられる必要があります。REPEAT LOAD機能(「TR.32.11 繰り返し荷重の設定」参照)は、この要求を念頭に置いて作成されました。ユーザーは、この機能により、事前に定義された主荷重ケースを組み合わせて新しい主荷重ケースを作成することができます。

  4. 軸力を降伏力と比較してτbを計算します(AISC 360-10/16のC章またはAISC 360-05の付録7を参照)。選択されたメンバーの曲げ剛性が(0.80×τb· EI)に設定されます。
  5. ステップ2~4が、収束するまでまたは反復制限に達するまで繰り返されます。

    解析は、任意のτbの最大変化が指定したτ許容差より小さくなるまで、各ステップでメンバー特性を更新して繰り返されます。任意τbの最大変化がτ許容差x100より小さく、かつ任意の変位自由度が変位の最大変化が設定した許容差より小さければ、このケースに対して解は収束したことになります。

Direct解析機能を使用するための一般的な手順

Direct解析を設定するには、次の3つの一般的なステップが必要です。
  1. DEFINE DIRECTコマンドを使用して定義を指定します。
  2. NOTIONAL LOAD荷重設定を使用してNotional荷重を指定します。
  3. PERFORM DIRECT ANALYSISコマンドを使用して、Direct解析方法を指定します。このコマンド内で、許容差または反復制限を指定します。